クレームは「期待」が満たされないと発生する
クレームはどんな心理的メカニズムから発生するのか。外食を例に考えてみましょう。
外食する人は事前にある期待水準を持っており、その期待水準と等しいか、それを超える料理やサービスが得られたときに初めて満足します。
では期待はどのように形成されるのか? 一般的には「4大欲求」から形作られると言われ、
どれか1つでも満たされなかったときにクレームは発生します。
消費者の期待 | クレームに変わるとき | |
①機能・品質欲求 | 良い品質のモノを手に入れたい | 信頼が失われたとき |
②経済的欲求 | 品質に見合う価格を設定してほしい | 価格と見合わないと感じたとき |
③愛情欲求 | 自分を大切に扱ってほしい | 自分を理解してもらえないと感じたとき |
④尊厳欲求 | 上得意先のように特別に扱ってほしい | 軽くあしらわれていると感じたとき |
レストランへの期待は「おいしさ」だけではない
例えばレストランの場合。料理は期待通りおいしくてサービスも良かったが、
最初の応対が悪かった(愛情・尊厳欲求の欠如)、
あるいはお皿にひびが入っていた(機能・品質欲求の欠如)ことがクレームの原因になります。
4大欲求のうち1つでも期待以下だと顧客は不満を抱き、その不満が苦情やクレームにつながります。
そして期待の中身は人によっても、店の業態や規模によっても違うので一筋縄ではいきません。
満たされなかった欲求を見極めることが必要
病院の場合も同じです。患者と家族にとって「病気が治る」ことが最終的な期待ですが、
他にも色々な期待が混ざり合っています。
その期待と同等、またはそれを超える治療・サービスが受けられなかった場合にクレームとなるので、
相手の話を聞き、どの欲求が満たされなかったのかを見極めることが必要です。
そしてクリニック、地域拠点病院、大学病院では担う役割が違うため、
来院する患者の期待もそれぞれ違います。足し算や引き算のように、誰もがわかる期待の基準はないのです。
- 「初期クレーム対応」についてもっと知りたい方はこちらの動画解説をどうぞ