以前、「患者への適切な接し方に必要な接遇の考え方とは?」の記事内で、
「患者さんとそのご家族は、人としての誇り(尊厳)を大切にして、
治療を進めてほしいと考えている」
と解説しました。
それでは、
人としての誇り(尊厳)を大切にするために、
病院の職員はどのような接遇を行っていけばいいのでしょうか。
本記事では、
病院の接遇を考える際に大切な7つのポイントについて、
詳しく解説していきます。
病院の接遇は7つのポイントから考えよう
病院の接遇では、全職員が同じ意識で患者さんに対応していきます。
1人の職員がすべての患者さんに対応することは不可能ですし、
スタッフによって対応が違うと患者さんが困惑してしまうからです。
そのために、患者さんに対する理解を
職員全員が同じポイントから捉えておく必要があります。
患者さんは、自分の病気や怪我に対して
「痛いかもしれない」「恥ずかしい」「怖い」といった不安だらけの
心理状態で来院してきます。
このような患者さんの状況を全職員が理解したうえで、
患者さんとの最善の接し方について考えていく必要があります。
引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
病院の接遇で大切な7つのポイント
患者さんへの理解を進めるために、以下の7つのポイントを確認していきましょう。
- 痛みを与えない
- 羞恥心を与えない
- 恐怖心を与えない
- 不便を与えない
- 不快な思いをさせない
- 不利益を与えない
- 感動してもらう
それぞれ具体的に解説していきますので、
病院の接遇を考える際のヒントにしてみてください。
・痛みを与えない
病気の治療では、注射による痛みから内服薬の副作用による痛みまで、
患者さんに痛みを我慢してもらう場面が出てきます。
治療を進めるために痛みを失くすことは不可能でも、
痛みをやわらげる対応ならできるはずです。
たとえば、点滴の針を患者さんに刺す際は、
「ちょっと痛みますよ」と一声かけて行いますよね。
それと同様に患者さんが痛みを感じそうな場面では、
治療を行う前にやさしく声をかけていきます。
患者さんも治療で痛みがあることは、ある程度覚悟しています。
ですが、職員から声をかけてもらえると、さらに治療に前向きになれるのです。
・羞恥心を与えない
病院の治療では日常で人に見せない体の箇所を
医師や看護師に見せる場面もあります。
患者さんの羞恥心に配慮をして、
できるだけ恥ずかしい気持ちを軽減する配慮を行いましょう。
羞恥心に配慮するコツは、以下の3つです。
- 短時間でスムーズに行う
- リラックスできるような声掛けを行う
- 目線や表情に気をつける
リラックスできるような声掛けとは、話すスピードや声のトーンです。
羞恥心に配慮する際は、
いつも通りの話すスピードを心がけて声のトーンにも気をつけましょう。
・恐怖心を与えない
はじめての治療にのぞむ患者さんは、大なり小なり恐怖心を持っています。
医療従事者の務めとして、
治療のリスクを話す場面もあるかと思いますが、
できるだけ患者さんの気持ちに配慮した対応を心がけましょう。
患者さんからの質問に対して、
返答を濁さずに返答するほか、わからない点があれば
「担当の医師に確認してまいります」と伝えたりして患者さんの恐怖心に配慮します。
・不便を与えない
病気によって体に痛みや違和感がある患者さんは、
ちょっとした病院での不便にストレスを感じてしまいます。
「待合室の椅子が空いていなくて、立ったまま長時間待つことになった」
「病院の呼び出しが聞こえなかった」
など、小さなことでもストレスの原因になるのです。
自分が患者だったらどのような点に不便を感じるだろう?と考えてみると、
自分の病院にあった方法が思いつくでしょう。
気になった点があれば、ぜひ周りの職員に相談してみてください。
・不快な思いをさせない
患者さんは支払った医療費に見合う医療サービスを求めています。
この欲求を、経済欲求と呼びます。
(経済欲求・・・受けたサービスと支払う料金が同等もしくは安いと感じる欲求。)
その人の経済状態によって違いますが、
特に入院費用は高額になるために注意が必要だが、
検査や差額ベッド料金等の費用に対して、
自分が感じた料金と見合うかそれより安価であればよいという欲求。
引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
病気の治療はもちろんのこと、
病院の接遇に対しても厳しい目を向ける方も少なくありません。
そのため、病院側の都合で患者さんに負担をかける際には、
「恐れ入りますが、検査室までの移動をお願いします」
といったように相手に配慮した一言を伝えると、
おもてなしの心が相手に届くため、それ以上の不利益を与えずに済むでしょう。
・感動してもらう
患者さんやそのご家族に感動してもらうと、
スムーズな治療につながるだけでなく、
「この病院にお願いしよう」と考えてくれます。
「感動してもらう」というと、
大変な作業が必要だと思われるかもしれませんが、
そんなことはありません。
実は、受付の職員の誠実な対応や看護師の何気ない一言で
感動する患者さんが多くいらっしゃるのです。
頭を使って話す必要はなく、
患者さんの目線に立った対応ができれば、
あなたの気持ちが相手にも届くでしょう。
まとめ
病院の接遇のポイントを7つ解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここまで解説してきた7つのポイントに配慮した接遇が行われていると、
患者さんからの評価が高まり、スムーズな治療につながるはずです。
次回もためになる接遇教育について解説しますので
楽しみにお待ちください。