“患者満足度調査”は医療の質向上および質の公表を推進する目的で、
2010年より開始された国の調査です。
皆さんの勤務先でも実施され、結果を見たことがある、知っている人も多いでしょう。
実は“患者満足度”には“職員満足度”が大きく関連しています。
その理由をまとめました。
患者の医療に対する要求は変化している
医学が進歩しさまざまな病気の原因や治療方法が見つかったり、
平均寿命も延びたりしたことで病院や医療と患者が付き合う時間は
以前よりも格段に長くなりました。
その結果、病院が療養の場だけでなく、
生活の場・生涯を終える場となる人が増えています。
生活の場になると、医療者に患者が求めることは
「病気の治癒」だけではおさまらなくなります。
快適な療養環境、ホスピタリティ、接遇……さまざまな要求が満たされて、
やっと「この病院は信頼できる」「十分な医療を受けた」と評価するのです。
しかし、患者が本当に満足しているかは、
現場で働く医療従事者には見えにくい物。
これらをどれだけ満たしているかを客観的に評価するために
「患者満足度調査」が行われているのです。
「患者満足度」を高めるカギは『看護師』にあり!
管理者の多くが、一喜一憂する職員満足度調査結果。
結果があまりよくないケースでは、
管理者の手腕が試される状況になっている方もいらっしゃるかもしれません。
患者さんの満足度の高いサービスについて改めて考えてみましょう。
先述のように「病気の治癒」と同等に患者が重要視しているのは
「人間力によるサービス」です。患者を第一に考え、
患者の満足を最優先に考える。
一人ひとり患者を大切にし、
問題が発生した場合は患者に寄り添ってくれる……。
このような医療スタッフを患者は求めています。
人間力によるサービスを満たすために重要な役割を担うのは、
患者の一番近くにいる看護師です。医師の指示通り医療を提供するだけでなく、
患者さんのニーズを収集し適切に対応できるスタッフが増えると
患者満足度は上がっていくでしょう。
患者満足度を高めるために「職員満足度」に注力すべし
患者満足度を高められる看護師を育成するためには、
小手先の指導やマニュアルだけでは不十分です。
その理由は、患者満足度は職員の満足度と密接に関連しているからです。
スタッフが自分の仕事に誇りと責任を持ち仕事に満足していると、
生産性が向上し職員の定着率も上がるといわれています。
職員の定着率が上がると人員不足も解消され、
患者に向かう余裕も増えるでしょう。
その結果、患者へのサービス向上・コミュニケーションアップが叶い、
患者満足度の向上、ひいては医療事故の減少、
患者数の増加・リピート患者率の増加に繋がるのです。
患者満足度を改善するために、
スタッフのできない所ばかり指摘していませんか?
その行動は逆効果かもしれません。
スタッフのモチベーションが低下し、
職員満足度も下がった挙句に患者満足度も改善しない
最悪のシナリオが待っているかもしれないからです。
まずはスタッフを大切に。
スタッフが病院を患者を愛してくれるためには、
どうすればいいか考えて行動してみてください。
そうすれば、患者満足度は向上するはずですから。
<参考資料>
1)濱川博招/著 島川久美子/著
仕事がしやすくなる病院をつくるコミュニケーション術 P52 ぱる出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4827208727