新型コロナウイルス感染症の蔓延から数年。
依然として多くの医療機関では想定外の状況が続いています。
看護師長であっても、
1スタッフとして働くことが求められる医療機関も少なくありません。
危機的状況においても現場感覚を失わず、
スタッフに寄り添える看護師長をスタッフは求めています。
スタッフが求める看護師長になるためのポイントを解説します。
知らず知らずのうちに衰える「現場感覚」
看護師長になるためには
平均25年前後の看護師経験を重ねる必要があります。
そのうえで、部署のマネジメント、他部署との連携・折衝、
スタッフへの指導・管理、患者の対応など多様な面で
総合的に優れた人が看護師長へ昇進します。
看護師長になるとベッドコントロールやスタッフの管理、
クレームやトラブル対応などの管理業務が増え、
パソコンに向かう時間が長くなります。
その分、患者の担当やリーダー業務など看護実践の時間が短くなり、
知らず知らずのうちに現場感覚を無くしてしまうのです。
衰えた現場感覚が生む問題
看護師長になって現場感覚が衰えていることに気づいていますか?
現場感覚が落ちていることに気づいていないと、
さまざまな場面で問題が生じる可能性があります。
最悪の場合、スタッフとの信頼関係を失いかねません。
具体的な場面を紹介します。
「大変さ」がわからない
「忙しくて業務が回らない」
「患者の対応に手がかかる」
スタッフからさまざまな報告を受けたとき、
実際に自分で体験したり目で見たりしていますか?
スタッフの意見をしっかり聞けば、
的確に対処できると思っている看護師長も多いでしょう。
しかしその場だけ介入したり外から見たりしているのは
「机上の空論」にすぎません。
実際の大変さがわからないのです。
時には防護服を着てレッドゾーンに入り、
実際に自分で経験するようにしてください。
外から見ているだけではわからない、
本当のスタッフの様子が見えてくるでしょう。
頼りにされなくなる
「看護師長は高いスキルを持っている」
「看護師長に相談したら解決する」
多くのスタッフは看護師長を一番頼りにしています。
頼りにされる、認められることで満足感や自己効力感が
満たされやりがいを感じる看護師長も多いでしょう。
しかし衰えた現場感覚では、
スタッフの求めている対応ができない可能性が高くなります。
急変や患者トラブル、最近では新型コロナウイルス感染症対応などです。
この状態が繰り返されると、スタッフから頼りにされなくなるかもしれないのです。
管理と実践の両立ができる看護師長を目指そう
現場感覚が衰えないために、
スタッフと同等に働くことを強要しているわけではありません。
実際、管理業務だけできる看護師長を求める部署もありますが、
そうではない部署が多いのも事実です。
残念ですが多くの看護師長は、
現場感覚が衰えていることに気づいていません。
何か相談したいときや、依頼したいときに
「看護師長には任せられない」とならないためにも、
管理と実践の両立ができる現場感覚を失わない看護師長を目指しましょう。
<参考資料>
1)看護師長のリーダーシップ 濱川博招/島川久美子著 ぱる出版https://www.amazon.co.jp/dp/482720803