「看護師をするなら働きやすい職場がいい」と誰もが思っています。
けれども現実は多くの看護師が、さまざまな場面で「働きにくさ」を感じ、
離職の原因に繋がるケースも少なくありません。
今回は働きやすい職場をつくる責任者に注目し、看護師長が果たす役割について解説します。
「働きやすい職場」の条件は個々で異なる
働きやすい職場を目指し努力しても部下の同意を得られなかったり、
批判されたりとつらい経験をした人もいるでしょう。
このような状況に陥る原因に、
働きやすい職場の条件が個々に異なることを失念している可能性が挙げられます。
年齢・性・経験が異なれば、働きやすい職場の条件は異なります。
さらにスタッフの入れ替わりによっても、働きやすい職場の条件は常に変化しているのです。
このような重要視すべきポイントに気づかないまま行動しても、
それは看護師長の独りよがりになってしまいます。
その結果スタッフ側は満たされない気持ちが強くなり、同意を得られなかったり批判されたりしてしまうのです。
スタッフ一人ひとりが「責任者」
すべての人に働きやすい条件を満たすことは困難です。
けれども働きやすい職場にするために看護師長ができることがあります。
それは「トップダウンの対策や実践を辞め、スタッフを巻き込む」ことです。
まずはスタッフの考える「働きやすい職場の条件」と「自部署の問題」を収集しましょう。
意見を聴いてもらえる、検討してもらえるという事実は、スタッフの当事者意識を高めます。
つぎに、傾向ごとにわけ分析をおこないます。
収集した意見をいくつかのカテゴリーに分類すると、今後の作業がスムーズです。
最後にスタッフ一人ひとりに対策・検討を分担します。
カテゴリー毎に複数のスタッフでチームを作り、一人がいくつかのチームを兼務するようにします。
そうすると、スタッフは横断的に自部署の問題を把握でき、より当事者意識が高まるでしょう。
この方法はトップダウンで決定するよりも時間がかかります。
上手くいかない場面も多いでしょうが、決して焦らないこと。
最後までスタッフを信じ「最後の責任は看護師長がとる」くらいの、大きな気持ちで構えていると上手くいきます。
看護師長は「調整役」に徹しよう
働きやすい職場を作るために看護師長がとるべき役割があります。
それは「調整役」です。
スタッフが主体的に検討・実践できるように俯瞰して問題の解決を目指してください。
初めから全てが上手くいくとは限りません。
上手くいかなければ、スタッフとともに上手くいかなかった原因を検討し、
新たな対策を実践できるようにサポートしてください。
その際にスタッフが責任を感じすぎて、自信を喪失しないように働きかけるのも看護師長に求められる役割です。
その結果、より多くのスタッフにとって働きやすい職場が現実のものとなるでしょう。
<参考資料>
1)看護師長のリーダーシップ 濱川博招/島川久美子著 ぱる出版