「正しい内容を説明しているのに、患者さんに思うように伝わらない…」
「真面目に仕事をしているのに、冷たい対応だと言われた」
「患者さんが心を開いてくれない」
来院する患者さんにできる限りの対応をしている病院スタッフの方で、
上記のようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
患者さんに伝わる説明と伝わらない説明の違いは何なのでしょうか?
本記事では、患者さんに伝わる説明に必要な要素を具体的に解説していきます。
患者さんと接する時、患者さんは看護師の何を注意深く観察しているかというと、
自分に共感を持っている“感情”や“態度”をしているかどうかを見ています。
忙しくてもきちんと患者さんの言うことを
受け止めているかどうかを見られているのです。
そして、共感を持って接してくれていると感じた時、
患者さんは満足を感じることになります。
※引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
患者さんに共感を表すことは、伝わる説明に必要な大きな要素です。
人から冷たくされたり無視されたりしたら、たとえ相手が他人でも気分が悪いですよね。
私たちが、友達や家族と話をするとき、
あるいは仕事で同僚や上司と話をするときなど、
誰かと接する際には「尊敬の念を持って自分に接してもらいたい」と考えています。
だからこそ、自分の意見が無視されたり冷たく扱われたりすると、
自尊心が傷ついて私たちは相手の言葉に耳を傾けられなくなってしまいます。
病院を利用する患者さんも、病院スタッフと接して
「人としての尊厳を大切にされていない」と感じると心を閉ざしてしまうのです。
結果、病院からの説明が伝わらない状況が生まれてしまいます。
よって、患者さんに伝わる説明を行うためには、
まず患者さんへ共感の姿勢を表して
「あなたのことをちゃんと見ていますよ」と患者さんに伝えなくてはいけません。
ちなみに、患者さんと接する機会が多いのは看護師ですが、
患者さんは受付の方や検査で担当する技師の方、
そして医師の感情や態度まで注意深く見ています。
つまり、病院で自分に接する方全員を観察しているともいえるのです。
もちろん「この人の態度はどうか?あの人は好意的に接してくれるか?」
と一人ひとり細かくチェックしているわけではなく、
一度の通院を通して全体的に判断しています。
姿勢によって相手にあたえる自分の印象は大きく変化します。
たとえば、猫背気味で患者さんに接すると頼りなく見えたり、
胸を張って顎が上がる姿勢だと威圧感をあたえたりします。
そこで、腹筋を使って背筋を伸ばし、
顎を軽く引いて視線をまっすぐにしましょう。
姿勢が良いと、すてきな笑顔も患者さんにまっすぐ届くようになり、
信頼感や安心感を持ってくれるようになりますよ。
続いてのポイントを紹介するにあたって、
書籍「第一印象が良くなるナースのマナー」から引用させてもらいます。
もう1つのポイントは「相手の目を見て話すこと」です。
「あなたの話を真剣に聞いていますよ」というサインです。
また、大きくうなずく、相づちを打つ、表情を変えるなど、
相手の話に合わせて反応することも大切です。
※引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
病院スタッフが患者さんの目を見て話すと
「しっかり自分のことを考えてくれている」と患者さんは感じてくれます。
患者さんの話す内容にあわせて相づちを打ったり
表情に変化をつけたりすれば、
さらに患者さんへ好印象をあたえられますよ。
患者さんの尊厳を大切にすれば、
次に病院側の話す番がきたときには、
患者さん自ら積極的に聞く姿勢になってくれるため、
説明もスムーズに伝わるようになるのです。
そういったタイミングでこそ、
病気の治療や治療費の説明といった大切な話を伝えるべきかもしれません。
伝わる説明に大切な共感と患者さんの尊厳を大切にする
基本的なポイントを解説してきました。
次回は、疾病による痛みや体調不良を抱えた患者さんを
相手にする際のポイントをご紹介いたします。
本記事とあわせてお読みいただければ、
患者さんに伝わる説明にあと一歩のところまで近づきますよ。
ぜひ次回もご覧ください。