しかし、敬語の種類やそれぞれの意味まで考えて、使い分けられる人は少ないかもしれません。
今回は、接遇やマナーに欠かせない敬語を解説します。
敬語の種類や意味を理解して使い分けられるようになると、
患者さんも病院スタッフも気持ちよくコミュニケーションできるようになりますよ。
【お互いに気持ちよく過ごす!】病院で使いたい敬語のマナー
病院で使う敬語は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3種類!
敬語は、「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の大きく3つにわけられます。それぞれの特徴について、まずは表で確認しましょう。
敬語の種類 | 特徴 |
丁寧語 | l 丁寧な言葉づかいで相手に敬意を表します l 自分に対しても相手に対しても使える敬語です |
尊敬語 | l 目上の人や患者さんに対して尊敬を表します 主に相手や第三者の性質や状態を高めます |
謙譲語 | l 自分(または病院)をへりくだって伝えることで、相手を立てます l 主に自分(または病院)の、動作をへりくだって伝えます |
種類がわかれていると、どの敬語が適切なのか判断に迷うかもしれません。そんなときは、主語に注目してみましょう。
例として、「いる」を敬語にしてみます。
・丁寧語の場合
私は、ここにいます。
・尊敬語の場合
患者様は、ここにいらっしゃいます。
・謙譲語の場合
医師の〇〇は、ここにおります。
主語が自分(または病院)なのか、相手になのかによって
適切な敬語が異なります。
主語に注目する癖をつけると、咄嗟のときに間違わず判断できますよ。
最後に、病院でよく使われる言葉を敬語にしてみました。
丁寧語 | 尊敬語 | 謙譲語 | |
いる | います | いらっしゃる | おる(おります) |
わかる | わかります | おわかりになる | 承知する |
来る | 来ます | おいでになる 来られる | 伺う 参る |
話す | 話します | 話される おっしゃる | 申す 申し上げる |
聞く | 聞きます | お聞きになる | 伺う |
食べる | 食べます | 召し上がる | いただく |
見る | 見ます | ご覧になる | 拝見する |
受け取る | 受け取ります | お受け取りになる | 頂戴する |
伝える | 伝えます | お伝えする | 申し伝える |
座る | 座ります | おかけになる | 座らせていただく |
丁寧な応対を意識し過ぎたあまり出てしまうのが二重敬語です。
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねて使ってしまうことを意味します。
以下の病院スタッフの返答には二重敬語が含まれていますので、どこにあるか探してみてください。
患者「検査結果を見て質問があります。医師の○○さんはいらっしゃいますか?」
病院スタッフ「検査結果をご覧になられたのですね。あいにく、〇〇先生は外勤しています。
戻るのは夕方頃です。それまでお待ちいただけますか?」
いかがでしたか?二重敬語は見つかったでしょうか。
では二重敬語の箇所に線を引きますので答え合わせしてみてください。。
病院スタッフ「検査結果をご覧になられたのですね。あいにく、〇〇先生は外勤しています。
戻るのは夕方頃です。それまでお待ちいただけますでしょうか」
二重敬語「ご覧になられた」
誤)ご覧になられた
正)ご覧になった
ご覧になられたには、「ご覧になる」と「なられる」の2つの敬語が使われています。
この場合、「なられる」は必要ありません。「ご覧になった」が正しい尊敬語になります。
言葉の頭に「お」をつける尊敬語の場合、「~られる」とセットに使うと二重敬語になってしまいます。
「お」「られる」はセットでは使用しない、と覚えておきましょう。
最後に・・・
病院で適切な敬語を使うメリット
患者さんの中には、病気の治療と同じくらい病院の接遇やマナーを大切にしている人がいます。
そのため、病院スタッフが適切に敬語を使っていれば、
「この病院のスタッフは、ちゃんと勉強しているな」と評価してくれます。
たとえ口に出さなくても、内心で病院や病院スタッフを高く評価しているのです。
ですから適切な敬語を身につけて、患者さんと病院スタッフの両方が気持ちよくコミュニケーションできる
環境を自ら作りあげましょう。