医療現場では日々さまざまなクレームが発生します。
クレームやトラブル対応の研修を受けるだけでは、
クレームは減らないことは管理職の皆さんはお気づきのことと思います。
たった1つのクレーム。
けれども、クレームによるダメージは、ボディーブローのように積み重なります。
スタッフの精神的・肉体的疲労や消耗、過緊張に繋がるだけでなく休職や離職の原因ともなります。
今回はクレームに対し、看護師長がとるべき対応について解説します。
クレームはスタッフの仕事を妨げる
苦情・クレームは、いつどこで発生するか予測できません。
誰もが当事者になる可能性があります。
一般的にクレームの対処の初期対応では、以下の手順が推奨されています。
クレームが発生
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傾聴する
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不快な思いに対してお詫びする
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指摘に対する感謝の気持ちを伝える
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共感を示しながら解決を目指す
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対応困難な場合は、別室・別機会での対応を提案する
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上司・医師への報告
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記録
*抜粋・一部筆者改定:苦情対応ハンドブック 第2版P4
国立大学附属病院医療安全管理協議会 医療安全事務委員会患者対応関係部会
http://square.umin.ac.jp/anzenhc/information/pdf/23_handbook_02-2019.pdf
文字にして読めばたった数十秒。
けれども、実際には数分~数十分かかることも少なくありません。
その間にクレーム対応をする部下の業務は滞り、他の部下や患者へのしわ寄せが発生します。
それはさらなるクレームを生み、他のスタッフの業務を滞らせるのです。
クレームが積み重なると……
「たった1つのクレームだから」「今日はたまたま運が悪かった(患者の機嫌が悪かった)」
クレームを受けると、そのように考える看護師長もいるでしょう。
実際にクレーム対応した時間は5分程度。
仕事に支障がなく大きなトラブルにならなければ黙認してしまうかもしれませんね。
けれども、すべてのスタッフが毎日5分のクレームを受けていたらどうなるでしょうか?
スタッフ20名であれば20人×5分=計100分。1時間半以上がクレーム対応業務に追われることになります。
スタッフの業務は圧迫され、残業やインシデント発生要因になるかもしれません。
さらに、クレームを受けるかもしれないという、スタッフの心理的・精神的負担も増すのです。
看護師長は「些細なクレーム対応」がスタッフの業務を妨げ、心身を疲弊させていることを改めて知ってください。
積み重なったクレームはボディーブローのようにスタッフを疲弊させます。
「たった1つのクレーム」がどれだけ存在するのか。
それをキャッチできるのは、看護師長であるあなただけです。
まずはクレームの実情を知り、共通するクレームから対応するなどクレームを減らす介入を検討してください。
<参考資料>
1)看護師長のリーダーシップ 濱川博招/島川久美子著 ぱる出版
https://www.amazon.co.jp/dp/4827208034