病院職員にとって、クレーム対応は避けて通れない業務の1つです。
たとえクレームの原因が自分にはなくても、病院の職員である以上
患者さんからのクレームに対応しなくてはいけません。
しかし、クレームに対して真っ向から立ち向かってしまうと、
精神的に大きく疲弊するおそれがあります。
そこで、事前にクレームが発生する仕組みを理解して、
感情的にならない冷静な対処方法を身につけましょう。
本記事では、患者さんが病院に対して持っている欲求から、
クレームが発生する仕組みを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
クレームと苦情の違い
はじめにクレームと苦情の違いから確認しましょう。
苦情とは、「何らかの害や不利益などを被っていることに対する不平や不満」
を指します。
一方のクレームは、
「正当な権利に基づいて要求する」「事実を主張する」といった意味があるのです。
参考元:goo辞書
つまりクレームとは、苦情よりも、患者さんが病院に対して
強い要求を示しているのです。
クレームに誠実に対応すると、患者さんからの病院に対する評価が
上がるといってもよいでしょう。
「クレーム」と「苦情」は同じではありません。
クレームは、患者さんからのメッセージです。
クレームは、患者さんが病院に持っている期待と、
医療サービスを受けたときの評価に大きな隔たりがある場合に起こります。
患者さんが来院される時には、
事前にある程度の期待水準を持っています。その期待水準と同等または、
それを超えるサービスが手に入れられなかった場合にクレームとなります。
参考元:第一印象が良くなるナースのマナー|濱川博昭 島川久美子共著
そのためクレーム対応の場面では、
患者さんの話に耳を傾けて、相手の欲求を知ることが大切です。
患者さんの欲求を確認すると、
消耗することなく冷静な対処ができるようになります。
患者さんの欲求とは、
「機能・品質欲求」「経済的欲求」「愛情欲求」「尊厳欲求」の4つです。
疾病や障がいを持つ患者さんの欲求を理解するために、
スーパーなどを利用する一般的な消費者の方と比較してみましょう。
欲求の種類 | 一般消費者の欲求 | 患者さんの欲求 |
機能・品質欲求 | 高品質で機能にすぐれた商品が欲しい | 高度で効果的な治療を受けたい |
経済的欲求 | できるだけ安く商品を買いたい | 適切な治療をできれば安い治療費で受けたい |
愛情欲求 | 自分を大切に丁寧に扱ってほしい | 自分を大切に丁寧に扱ってほしい 例:やさしく声をかけてほしい 無愛想な態度はとらないでほしい |
尊厳欲求 | お客である自分を特別扱いしてほしい | 患者である自分を特別扱いしてほしい 例:後回しにしない、診察まで待たせない |
患者さんが持っている欲求に応じた対応をとると、
患者さんからの評価が高まり病院スタッフの負担は軽減されますので、
ぜひ上記の表を参考に適切な対応を検討してみてください。
まとめ
本記事を参考に、
疾病や障がいの治療に来院している患者さんの気持ちに寄り添った
対応を行いましょう。
次回はクレーム対応の基本ルールについて解説します。