当社では、病院内の接遇がなぜ向上しないのか、向上するためにはどうすればよいのかと言った課題を解決するために仕事をしています。

もちろん、忙しいのでこんなことはできないとか、社会人なのでわかっているので、今実施することではないなどと様々な意見があります。

しかし、患者さんが信頼できる診療所であると言われるよう日々、診療所の経営者である院長は診療と経営を実行していらっしゃると思います。診療所の職員は、まず、そのリーダーである院長を見て、人間として信頼できる人間かどうかということを判断しています。

その判断材料としては、視覚情報である「身だしなみ」が重要な役割を果たしています。もちろん、患者さんも信頼のおける人間かどうかを判断している情報も「身だしなみ」が重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。

特に、一番抵抗があるのは「身だしなみ」を整えるという課題は、抵抗感があるようです。恐らく、中学校や高校で制服のあった学校に通われた経験のある方は、自由を阻害されている嫌な記憶があるのかもしれません。だから、「身だしなみ」を整えるという点において改善してほしいと依頼をすると、なぜか「個人の人格を否定されている」ように受け取られていると感じています。「職場にふさわしい身だしなみ」が患者さんにどのような影響を与えているのかということについて、本当に理解している職員はどのくらいいるのでしょうか。

「身だしなみ」を整えるとは?

「身だしなみ」を整えるという点は、単に服装を整えるということではありません。病院内で勤務しているそれぞれの専門職の皆さんは、自分の仕事に誇りをもちプロフェッショナルであることをどこで患者さんに理解してもらいますか。と皆さんのスタッフに聞いてみてください。

入院施設のある医療機関では、当たり前ですが夜勤で眠らず患者さんの治療や看護にあたっていても、患者の家族から不信感をもっている職員だと感じていたら、推測ですが、その患者さんの結果がよければ「普通」、結果が悪ければ、正当な治療や看護を行ったそのものの行動を、もしかしたら「非難」されるかもしれません。

 皆さんは、「なぜ、こんなに患者さんの事を思って仕事についているのに、理不尽だ」と感じていることでしょう。

 医療は、目に見えるものでありません。ましてや、患者さんや家族は医療のことについてはよくわかりません。患者さんや家族と、信頼関係を築く必要があることはわかっていると思いますが、身だしなみの基本的な考え方を理解してほしいと思います。

皆さんの診療所は、患者さんにどのように見てほしいと思っていますか。身だしなみは、患者さんが医療機関に期待している思いを具現化しているものと考えます。診療所が掲げている理念やモットーを職員の身だしなみで表現していると思っていただければわかりやすいかもしれません。

次回は、具体的にどのような身だしなみが患者さんに好印象を与えるのか具体的に深堀してみたいと思います。

島川 久美子

島川 久美子

略歴
立教大学大学院卒業MBA取得。人材派遣会社立ち上げ、PC等教育フランチャイズ本部で人材育成に携わる。2002年4月株式会社ウィ・キャン(人材ビジネス・人材開発)、取締役に就任。1998年から、企業の立場で人材育成から病院での患者応対に関するコンサルティングを実施する。企業および医療機関における人材育成に関する企画・研修を実施。

著書
「医師・看護師が変える院内コミュニケーション」「毎日が輝くナースのマナー―決定版!患者接遇完璧マニュアル」できる看護主任・リーダーのコーチング術」共著(パル出版)他
「介護現場のクレーム対応の基本がわかる本 (New Health Care Management)」
「医療と企業経営 第6章」共著(学文社)
「ビジネスクリエーターと人材開発」共著(創成社)他