「クレームの中には、自分ではどうしようもない」ことを患者が言ってきた場合、その気持ちを理解していることを理解してほしいと患者は思っています。
患者が初期の段階で職員の対応に不満を持ち、その不満を持ち続けて院内を回っており、その不満を増幅する事柄があった場合、どうしても後で当該患者の対応する職員意クレームを言う場合が多いのです。すべての職員がサイクルチェーンのように配置され一人の患者に対応しています。その特長からどうしても後の工程になるほど患者の不満が増幅している可能性があります。
だから他人のクレームを受けることが多いのが特徴です。
同じような対応をしなければならない例について考えます。
なにかわからないが、患者が怒って自分にクレームを言っているのだが、その内容が事実かどうか不明である。また事実と違っている可能性が高い、場合がよくあります。
さて、そのような時あなたはどのような対応をしますか?あなたの言うことは違っていますよ。事実は・・・・と説明するとどのようになると思いますか?実際ご経験された方もいらっしゃると思います。
ほとんどの患者は納得せずに怒りを爆発することが多いようです。
患者の言ってきていることが、事実と違うようなので確認する、あるいはそれは違いますよ。訂正しようとした瞬間からその言ってきた人の怒りは爆発します。
このような場合、クレームを言ってきた患者は完全に自分が否定されていると思い込みます。その結果、自分を正当化するために、以下のような行動に出ることが多いようです。
①大きな声で自分の主張を繰り返す。
②本来の話題ではなく、別の話題にすり替え、自分の正当性を主張する。
③対応している人にきつく当たり、上司を呼ぶように言う。
実際にこのような調査があります。
アメリカの調査機関「e-サティスファイ」グッドマンによれば、「なんとクレームの40%が顧客自身の思い違いや、過度の期待から来る」という事です。つまり、クレームの半分近くが「患者の思い込みや過度な期待から来るも」であり、言ってくることがら事態事実と違う事が多いのです。
一次クレーム対応のゴールはどこにあるのでしょうか?
クレームの原因を追究し、患者に納得してもらう事でしょうか?自分達の正当性を患者にわかってもらう事でしょうか?
実は一次対応のゴールは、問題の解決ではないのです。
今不満に思っている患者の気持ちを静めることにあるのです。まず、患者の気持ちを受け入れてその人に冷静になっていただくことなのです。
今般的解決や原因は、そのあとに検討する事なのです。一次対応のゴールを間違えるとクレームはますます大きくなり、対応困難な状態になります。むしろ患者の勘違いや、過度な期待から来るクレーム対応のまずさがクレームを長時間化させる可能性があります。
クレームについて、まとめると次のようになります。
①クレームは、期待が裏切られた時に生まれるものである。その期待は感じる人によって違う。
②クレームは、不安、不満が蓄積し、表面化した事象であること。単に言って終わる不平の場合もあるが、何らかの賠償を要求する場合もある。
③クレーム発生の時期は、人によって違う。表面化しない場合が多い。一般のサービス業では表面化するのはたった4%と言われている。
④クレームはその本人にではなく他の人に言われることが多い。他人のクレームを受けるのは当たり前である。
⑤クレームの半分近くは、制度上のこと、すぐに改善できないこと、思い込みや誤解によるものである。
そして、多くの職員が受ける一次クレーム対応は、言われる職員にとっては突然言われるものです。対象になる可能性はすべての職員にあります。
こじれて解決した場合と一次クレーム対応で納得した場合では、患者満足度は明らかに一次対応で納得した場合の方が高くなります。二次対応以降の解決は、患者の利益と病院の利益が一致しない場合が多く、解決できたとしても患者の気持ちに何らかのしこりが残る可能性があるからです。
そして厄介なことに一次対応は、心の準部をしていない職員がしなければなりません。ここに難しさがあります。その点二次対応は、事前に心の準備だけではなく、相手の言う事も把握できています。じっくりと話を聴き、相談しながらできるので、心にゆとりがあります。しかし、一次対応はそうはいきません。
一次対応こそ「究極の接遇対応」」と言っても私は良いと思います。