「患者の期待を裏切った時に患者は不満を持ち始めるが、いつ爆発するかわからない」『他人のクレームを受ける事が当たり前』と言うことについて説明しました。そして今日は、解決できないこと、あるいは本当かどうかわからないクレームを言われることがあることについて事について考察しましょう。
解決できないクレームはどんなクレーム
解決できないクレームは2種類あります。最初から「悪意を持って言ってくるもの」と、「悪意ではないが、解決ができないもの」があります。
最初から悪意を持って言ってくるクレームは、患者満足度の範疇ではなく、組織防衛の範疇になります。これは一般のスタッフが対応するものではなく、院内で対応する担当者を決めておく必要があります。問題は、そうではない患者からのクレームです。
たとえば、厚生労働省の指導によって必要なことに対するクレームです。「特定診療費」「逆紹介にかかわること」等あります。
設備面でのクレームはすぐには改善できない可能性がある
病院の規則や、すぐに改善できないハード面でのクレーム等々いろいろなものがあります。
このようなクレームの場合は、多くの患者が同じ思いを感じています。そして職員自身も「患者に不便や負担を強いている」と感じている人も多いと考えます。しかし、どうしようも自分では解決できない患者の気持ちなのです。その気持ちをぶつけてくる人がいます。
ではどのように対応すればよいのでしょうか?
このようなケースの多くは、事前に予測がつくことです。
医療制度の事であれば、あらかじめそのことを説明できるようになっていなくてはなりません。できれば医事課の職員だけでなく、患者と接する人たちは少なくともその概要は理解する必要があります。実はここに落とし穴があるのです。
制度に対して不満を言ってくる対応は
制度に対して不満を言ってくる人は、その制度の内容を知ることではなく、おかしいと思っている自分の気持ちをわかってほしいと思っているのです。皆さんの中には、制度の説明を理路整然として、二次クレームになった経験がある方も多いと思います。こういわれます。「この病院の職員はマニュアルチックだ。患者の気持ちを全く分かっていない。患者を何と思っているのか!」と。
こうなると、取りつく島もありません。説明しようすればするほど、患者の怒りは大きくなり、最後に「お前じゃわからん。上司を出せ」ということになるのです。
病院のハード面についても同様です。言ってくる患者自身もすぐに解決できるとは考えていません。もちろん解決できるに越したことはないのですが・・・・
この両者にあるのは、制度の説明やハード面が不便であると理由を患者は知りたいのではなく、不便をしている、またおかしいと思っている自分の気持ちをわかってほしいという気持ちが強いのです。
つまり、クレームの性格の中に、そのクレームを解決する事よりも、自分の気持ちをわかってほしいという信号が点滅しているのです。