満たされなかった欲求がクレームを招く
患者と家族の心理は「買物客」に似て、来院されたときには事前にある期待を持っています。
その期待と同等か、それを超える治療・サービスが手に入らないとクレームとなります。
この期待については、前項の「消費者の4大欲求」と同じ考え方ができます。
相談者の欲求をよく理解した上で、相談者の話を聞き、
どの欲求が満たされなかったことでクレームが生じているのかを見極めることが大切です。
小さな不満がクレームに変わるとき
不平や不満は、「自分の気持ちをわかってほしい」という心理的補償を求めるもので、
愛情欲求と尊厳欲求が満たされない場合に発生します。
「待ち時間が長い」「後から来た人が自分より先に診察してもらった」という類のものです。
不満を感じた人は心の中の「不満の引き出し」に確実に入れていき、
それが一杯になると「爆発」するか、もしくは永久にあなたの病院から去っていきます。
「爆発」した時には、その患者は我慢してきたことの補償を求めてきます。
ここで単なる不満は「クレーム」へと変化します。
「あの先生はいつもつっけんどんだ!」という単なる不満が、
「つっけんどんだから私のことを考えてくれない」になり、
やがては「そのために変な薬を出された」「誤診じゃないか?」と実質的な補償を求めるようになりかねないのです。
相談者に対応する際の3つのポイント
小さな不満をクレームにしないために、相談者の対応をする際は次の3つを心がけましょう。
- 業務より優先して対応に当たる
- 決して逃げ出さず、誠意を持って対応する
- 相手が納得する方向と内容で解決する
苦情対応で重要なのは、相談者の欲求を理解し、話をよく聴き、どんな欲求が満たされなかったかを見極めることです。
自分が一個人として扱われていないと感じたとき、小さな不満は大きな苦情へと発展します。
- 「初期クレーム対応」についてもっと知りたい方はこちらの動画解説をどうぞ