クレーム発生の原因は患者の期待とのギャップの現れであるということを説明しました。
では、いつ発生するのでしょうか?結論から言えば、決まっていません。多くの人は、クレームを言うことにためらいがあります。
クレームを言う人は4%
一般のレストランですらクレームを言う人は、同じことを思っている人の4%に過ぎず多くの人は我慢しているか、あきらめているのです。ましてや医療機関での割合はもっと少ないと思います。おそらく1%を切っていると思われます。つまり多くの患者さんは我慢をしているのです。
我慢をしているということは、我慢の限度も人によって違います。切れやすい人もいるし我慢強い人もいます。また期待の度合いも人それぞれなので、期待が裏切られる度合いによっても我慢の限度は違います。
つまり、クレーム発生の時期はよくわからないのです。
ただ、確実にいえることがあります。クレームは突然やってくるように感じられますが、その予兆があります。不満は不安が溜まってきて、不平になります。不平はヒヤリ・ハットという形で表面化しますが、まだインシデントの常態です。大きな影響は与えることはありません。しかし、それが溜まりに溜まってクレームという形で爆発するのです。 クレームになるということは今まで多くの患者に我慢を強いてきたこと、その結果がクレーム発生になるのです。
クレームの性格
もうひとつクレームの性格について話します。
よく職員の方から『自分のクレームならともかく、どうして他人のクレームを受けなきゃいけないの?』と言われます。確かに自分と関係のないことでクレーム対応する事は嫌ですよね。その理由は2つあります。
そのひとつは、クレーム発生源の本人にクレームを言ったことがありますか?なかなかいえませんよね。いえば喧嘩になる可能性があります。多くの場合他の人に『あのスタッフの対応が悪い』と言いませんか?本人には指摘しにくいのです。と言うより、できないほうが多いのです。
もうひとつは、医療機関特有の業務フローにあります。たとえば外来の患者の動きを思い出してください。
図のように患者は動きます。
患者さんの動きを知る
駐車場に入った患者は、総合受付けを通り、問診表を記入し、各科の外来へと動きます。診察を受けるまでに複数の職員と接触し、自分のカルテと診察券を持って、院内を動き回ります。ところが職員は、その一つ一つで自分の業務は終了します。つまり、患者は院内を回っているのにもかかわらず、トール的に患者を見ている職員は院内に存在していないのです。
もし、患者が初期の段階で職員の対応に不満を持ち、その不満を持ち続けて院内を回っており、その不満を増幅する事柄があった場合、どうしても後で当該患者の対応する職員意クレームを言う場合が多いのです。すべての職員がサイクルチェーンのように配置され一人の患者に対応しています。その特長からどうしても後の工程になるほど患者の不満が増幅している可能性があります。
だから他人のクレームを受けることが多いのが特徴です。