カスハラ・ペイハラ

カスタマーハラスメント対策

カスハラ対策を考える②

先月号で「カスタマ-ハラスメント」には、明確な基準はないと申し上げました。厚生労働省の指針があるものの、ハラスメントは受ける人の感じ方により、ハラスメントと感じない人もいます。ひょっとすると、同じ人でもその時の気持ちで、感じ方が変わる可能性があります。

その結果、些細なことでもハラスメントだと訴える人がいる一方、「もう少し我慢しよう」とか「私だけが感じている」と、自分で勝手に処理してしまう場合や、「こんなことでハラスメントと騒げば、他の職員はどう思うのだろう」という感情が芽生え、我慢する人もいます。こういった感情が継続すれば、いやな思いが知らない間に蓄積し、ある人は「こんなもんだ」と慣れてしまい惰性で仕事を継続する人や、退職する人も出てきます。そんな職員を出さないための方法について、皆さんと考えてみましょう。

ハラスメント基準を作ることは前号で言いましたが、できれば「患者・家族用」と「職員用」の2種類を作成することをお勧めします。何故ならば、目的が違うからです。前者は、「ハラスメント行為の防止」であり、後者は「職員の保護」だからです。

「職員用ハラスメント基準」を作る

ハラスメント防止のための『責任者』を決める
組織が小さければ、できれば院長自ら率先していただければと思います。 「職員を守る!」という強いメッセージを出すためには、経営のトップ層が責任者になってください。

 

ハラスメントが発生した原因は問わず、「怖かったこと」「心が折れかけたこと」「身の危険を感じたこと」等、職員個人の気持ちが収集できるような仕組みをつくる
ハラスメント行為を受けていても、他の職員が気づかないこともあります。被害を受けた人の気持ちがわからないこともあります。 そこで、実際に受けた被害者はもちろん、ハラスメント行為を職員がされているのを見かけた場合も報告し、収集することが必要です。事例を収集することにより、傾向が可視化できるようになります。 詳しい報告書ではなく、こちらの表のようになるべく簡単に記入できるような報告書を作り、決められた箱に入れてもらうようにします。 1日1回、その箱を開けて確認するようにしてください。


ハラスメント報告書

 

濱川 博招

略歴
経営コンサルティング会社ウィ・キャン代表。顧客満足向上のコンサルティングのスペシャリストとして多くのサービス業、医療機関で実績を上げている。医療機関においては、実際の医療現場で発生した膨大な数にのぼる事例研究を通して、リスク回避のためのコミュニケーション等現場に即した研修を実施
著書「病院のクレーム対応マニュアル」「医師・看護師が変える院内コミュニケーション」「毎日が輝くナースのマナー―決定版!患者接遇完璧マニュアル」「できる看護主任・リーダーのコーチング術」人材派遣会社「儲け」のルール」「病院のクレーム 対応の基本」共著等(パル出版)

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