これまで患者さんに伝わる説明について
「患者さんの尊厳を大切にする基本的なポイント」
「病院スタッフだからこそ気をつけるべきポイント」
「患者さんにしてはいけない態度」
の3つにわけて解説してきました。
本記事では患者さんに伝わる説明の最後として、
患者のご家族に伝わる説明のポイントを解説していきます。
患者さん本人が何らかの事情で説明を聞けない場合など、
病院スタッフが患者さんのご家族へ説明するケースも少なくありません。
そこで、どのようなポイントに気をつけると
説明が伝わりやすくなるのかを解説していきます。
家族を大切にすることは、
結果として患者さんを大切にする最高のマナーです。
患者さんのご家族へ説明する際は
「ご家族の気持ちに配慮した対応ができているかどうか」
がポイントになります。
現役で働いているご家族なら、
仕事や家事の忙しい合間を縫ってご家族の通院やお見舞いをしているはずです。
そのため、家族の苦労をねぎらうような態度や言葉かけを行いましょう。
「いつもご苦労様です」「いつもありがとうございます」
と声をかけられて気を悪くする人はいませんよね。
思いやりのある声をかけてくれた人のことは、
ご家族も覚えているものです。
結果として、病院スタッフからの言葉に耳を傾けてくれるようになります。
患者さんのご家族に伝わる説明を行うポイント

ご家族には、患者が心配で不安な気持ちを抱えている方がいます。
そんな不安な気持ちを抱えている方の傍に、
「こんにちは」「ご苦労様です」と毎回明るい挨拶をくれる
病院スタッフがいたらどう感じるでしょうか。
あるいは「おひとりで抱え込まないでくださいね」
と気遣いの一言があるとどうでしょうか。
おそらく、すぐに暗い気持ちが明るくなることはなくても
「気にかけてくれる人がいる」と気持ちが軽くなり、
少しずつ前を向けるのではないでしょうか。
挨拶は相手と心理的な結びつきを持ち、
より良い人間関係を作るためのものです。
患者さんとのコミュニケーションの第一歩です。
挨拶の役割とは、相手の人格を認め、
相手に対して好印象を与える役割を持っています。
引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
ご家族の気持ちが前向きになれば、
病院からの説明にも積極的に耳を傾けてくれるでしょう。
「家族が看病をするのは当たり前」といった考えもあります。
それ自体は間違いではないのですが、
病院スタッフがそのような感情を心に持ってしまうと、
ちょっとした隙にご家族に伝わってしまうかもしれません。
たとえば、患者さんの入院が決まり、
ご家族に対して「患者さんの入院に必要な道具を持ってきてほしい」
と依頼したとします。
そこで、ご家族が「仕事でその日は行けません」とか
「その日は用事があってできません」と返答されたら
「家族なのにどうしてできないのか」といら立ちを覚えるかもしれません。
そして表情や声のトーンといった態度にイライラが出てしまえば、
ご家族との間に心理的な距離が生まれて、
説明も伝わらなくなるおそれがあるのです。
「看病するのは当たり前」などの気持ちを
「ご協力をありがとうございます」といった気持ちに変えると、
思いやりの気持ちが生まれます。
ご家族が協力してくれると、結果的に患者さん本人のためになりますよね。

患者のご家族に伝わる説明のポイントを解説していきましたが、
いかがでしたでしょうか。
最後に「患者さんへ伝わる説明のポイント」と
「患者のご家族へ伝わる説明のポイント」をまとめます。
まずは、患者さんへ伝わる説明のポイントがこちらです。
- 患者さんの人としての尊敬を大切にする
- 「背筋を伸ばした姿勢で接する」「相手の目を見て話す」
- 患者さんの気持ちに共感を示して対応する
- 「必要以上に親しい態度」「威圧感をあたえる態度」「不快感をあたえる態度」に注意する」
続いて患者のご家族へ伝わる説明のポイントです。
- ご家族にねぎらいの言葉をかける
- 挨拶に心をこめる
- 「家族だから看病するのは当たり前」と思わず感謝の気持ちを持つ
本記事が、患者さんとご家族の両方に伝わる説明のご参考になれば幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。