病院で働く医療従事者の中で、
以下のような悩みを抱えている方は少なくありません。
「業務が忙しくて心を込めた対応ができない」
「周りのスタッフと意識のズレを感じる」
「適切な接し方のコツを教えてほしい」
本記事では、患者さんへの接し方に迷う医療従事者に向けて、
接遇の意味から詳しく解説していきます。
接遇の意味をつかめれば、
患者さんへの接し方で迷う回数も減り、
患者さんから好印象を持ってもらえるようになるでしょう。
患者への適切な接し方に必要な接遇の考え方とは?
接遇とは、サービスを利用してくれるお客さんをもてなすことです。
言葉づかいや態度、心を込めた所作などによって、お客さんをもてなします。
病院の接遇では通院する患者さんに対して、
職員の言葉づかいや態度によって、患者さんをもてなすことになります。
朝のバイタルチェックの時も、体温計を無言で差し出すのと
「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」
と言いながら出すのでは、患者に与える影響が変わってくると思いませんか?
※引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)より
接遇を学んだ職員による言葉かけは、
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「またお越しくださいませ」
などのマニュアル化された接客用語とは、少しだけ意味が異なります。
病気による痛みや不安など、さまざまな問題を抱えた患者さんが相手のため、
相手の目線に立った接遇技術や知識が、患者さんへの接し方に必要になるのです。
業務が忙しいから接遇にかまっていられないはNG
患者さんが毎日訪れる医療の現場は忙しく、
「業務が忙しくて接遇にまで手が回らない」といった声も耳にします。
しかし、患者さんの病気を治療する病院だからこそ、
接遇に真剣に取り組むことが大切です。
なぜなら、患者さんとそのご家族には人としての誇り(尊厳)があり、
「人としての尊厳を大切にしながら治療をしてもらいたい」と考えているからです。
人々は、人間としての尊厳を保持し、健康で幸福であることを願っている。
看護は、このような人間の普天的なニーズに応え、
人々の生涯にわたり健康な生活の実現に貢献することを使命としている。
病気の治療に忙殺される日々を過ごすと、
患者さんを「病気のある人」と「病気のない人」といったように
区別してしまうかもしれません。
しかし、病院を訪れる患者さんには必ず人としての尊厳があります。
そして、尊厳を尊重する接し方は、接遇を学ぶことで身についていきます。
接遇には職員全員の意識統一が必要
職員によって接遇への意識に違いがあると、
患者さんへの応対の質もバラバラになってしまいます。
接遇が身についた看護師が病院に1人いても、
すべての患者さんに対応することはできませんよね。
反対に「看護師さんによって対応が違うな…」
と患者さんが不安を覚えたり不満を抱えたりするおそれもあります。
そのため、接遇に取り組む際は、
病院で働く職員全員が同じ意識を持つ必要があるのです。
まとめ|患者への適切な接し方を考える際の7つのポイント
最後に本記事の要点を確認しましょう。
- 病院の接遇とは、言葉づかいや態度によって患者さんをもてなすこと
- 接遇が身につくと、患者さんの尊厳を大切にしながら治療を進めることができる
- 接遇は職員全体が同じ意識でいることが必要
なお、病院の接遇では7つのポイントから接遇を考えます。
- 痛みを与えない
- 羞恥心を与えない
- 恐怖心を与えない
- 不便を与えない
- 不快な思いをさせない
- 不利益を与えない
- 感動してもらう
参考元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)|患者さんに接する際に必要なこと
次回の記事にて7つのポイントを詳しく解説していきますので、ぜひ次回もご覧ください。