前回の「病院の接遇で大切な7つのポイントとは?」では、
患者さんに対する理解を職員全員が同じポイントから捉えておくと、
患者さんに対する病院の接遇は向上すると解説しました。
本記事では、職員全員が同じ考え方を持つために必要な
接遇教育について解説していきます。
患者さんの満足度は病院職員に対する
接遇教育にかかっている
病院で接遇教育を行う際は、
はじめに病院が患者さんに提供しているサービス全体を理解することが重要です。
なぜなら、患者さんの病院に対する総合的な評価は、
来院して治療を受けて帰るまでの一連の流れ全体に向けた評価になるからです。
患者さんが医療サービスの評価を行うポイントは、
患者さんがそれぞれの現場でサービスが提供される瞬間に判断されます。
つまり、患者さんが来院してから帰るまでの一連の
サービス・サイクルの中で判断されます。
※引用元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)
すばらしい医療技術で患者さんの病気やケガがなおっても、
受付や現場の職員の対応が適切ではない場合、
残念ながら患者さんの満足度は低下する傾向にあります。
つまり、病院の接遇を上げるためには、
職員一人ひとりの接遇を向上させなくてはいけません。
病院の職員一人ひとりが医療サービスの提供と
適切な接遇対応の両方ができて、
患者さんの病院に対する満足度を向上させることができるのです。
病院が接遇マニュアルを作成する理由と注意点
病院職員の一人ひとりの接遇やマナーを向上させる近道が、
接遇マニュアルを作成することです。
接遇マニュアルを作成すると、
職員が個別にマニュアルを確認してレベルアップを
図ってくれるようになるほか、新人職員の教育にも活用できます。
つまり、病院全体の接遇やマナーを効率的に向上させることができるのです。
効果的な接遇マニュアルを作成するために、以下の3つのポイントを記載しましょう。
- 経営の基本方針や価値観が明確で、それらを共有するための具体的な行動が記載されている
- 患者さんが期待する水準で業務が遂行できるように、「具体的な手順」「患者さんの期待レベル」「ポイント」が明記されている
- サービスの提供者が独自に学習でき、OJTの基本となる業務手順書としても利用できる
※参考元:第一印象が良くなるナースのマナー(濱川博昭/島川久美子共著)
1.経営の基本方針、価値観を明確にし、共有するための
具体的な行動が定められていること
接遇マニュアルに経営方針や価値観が明記されており、
それらを実現するための具体的な行動が記載してあると、
病院職員が迷わずに行動にうつせるようになります。
また、接遇対応がマニュアル化していると
「職員によって対応が違うから混乱する」
といった患者さんの不安も払拭できますので、
質の高い接遇サービスを、いつも保てるようになります。
2.患者さんが期待する水準で業務が遂行できるように、
「具体的な手順」「患者さんの期待レベル」「ポイント」
が明記されている
具体的な業務の進め方にくわえて、
患者さんの期待レベルやポイントが記載されていると現場の職員に親切です。
接遇やマナーについて判断に迷った際に、
マニュアルを確認して病院にとって適切な行動がとれるようになるでしょう。
3.サービスの提供者が独自に学習でき、
OJTの基本となる業務手順書としても利用できる
一人ひとりの接遇やマナーの向上のために、
自己学習の時間が必要になるかもしれません。接遇マニュアルに、
自己学習のコツやポイントが明記されていれば、
個々の職員のやる気も上がるでしょう。
また、新しく職員が入職してきた際にも、
接遇マニュアルを利用できれば
教育にかかる人員コストを減らすこともできます。
終わりに|
接遇教育を進めて病院に対する患者さんの評価を
向上させよう
接遇マニュアルは、
病院の職員をいわゆる「マニュアル人間」にするための方法ではありません。
病院の経営方針や理念に基づき、
個々の職員が適切な接遇やマナーを患者さんに提供できるようにするための方法です。
そのため、接遇マニュアルを作成した後も適時評価を行い、
現場職員に指示されるマニュアル作りを行っていきましょう。
接遇マニュアルが現場の職員から大切にされるようになれば、
病院を利用する患者さんの満足度も間違いなく向上していくでしょう。