謝罪の言葉の裏

知床で不幸な事故が発生しました。数年前私も知床観光で観光船に乗りました。最も私が乗ったのは大型船のほうでしたが・・・。

さて今回のニュースで、事故を起こした会社の社長がご遺族の前で初めて謝罪会見をしたことが流されていました。

同様なことが起こった場合謝罪会見について、言われていることなのですが、本当に謝罪をしているのかどうかが疑問です。謝罪会見がかえって遺族だけでなく一般の人の怒りにも油を注ぐことになった例は枚挙にいとまがありません。いろいろな謝罪のプロの方がコメントされると思いますので、同じようなコメントは避けさせていただきます。

もちろんマスコミが誘導している節もあるのですが、今回も当分の間非難の嵐にさらされることと思います。公式に謝罪をするのは、組織の長です。担当者が起こしたことに対して謝罪をします。だから何でしょうか?やはりどこかに自分は当事者ではない、という意識があるのかなあと思わざるを得ません。

そしてその会見で共通するのは「原因を調べまして…」というフレーズです。この言葉の裏には「できれば自分は関係がないことを証明できるのでは」という気持ちがあるのではないかと勘繰られます。 

謝罪のフレーズ

もう一つのフレーズは「お騒がせして申し訳ございません」騒いでいるのはマスコミだけなのです。被害者や遺族は何も騒いでいません。悲しみと自分たちを襲った不幸に呆然としその気持ちが満ち溢れているだけです。 どのような言い訳をしても過去は取り戻すことができません。その瞬間にできることは被害者の方の気持ちに共感してその「つらさ」を「悲しさ」を共有するためなのです。

にもかかわらず多くの場合、「事故の原因を追究して」とか「二度とこのようなことがないように」という言葉が出てきます。被害者の方には次がないのです。

まず加害者側は、被害にあわれた方が被った「不幸な結果」について謝罪しなければなりません。そしてその気持ちに寄り添わなければなりません。

原因を追究するのはその次です。原因追求の過程や結果はすべて公開することが原則です。自分が不利になることもすべてです。

誰が謝罪をするのか?

組織の最高責任者、損害を発生させた部署の最高責任者、現場に近いチームの責任者 さてどれでしょうか?

次回の「謝罪の方法 後編」メルマガ配信は、2022年6月14日配信予定です。

濱川 博招

略歴
経営コンサルティング会社ウィ・キャン代表。顧客満足向上のコンサルティングのスペシャリストとして多くのサービス業、医療機関で実績を上げている。医療機関においては、実際の医療現場で発生した膨大な数にのぼる事例研究を通して、リスク回避のためのコミュニケーション等現場に即した研修を実施
著書「病院のクレーム対応マニュアル」「医師・看護師が変える院内コミュニケーション」「毎日が輝くナースのマナー―決定版!患者接遇完璧マニュアル」「できる看護主任・リーダーのコーチング術」人材派遣会社「儲け」のルール」「病院のクレーム 対応の基本」共著等(パル出版)