患者さんが職員の皆さんを見たとき、「温かい笑顔と態度で、きちんとした身だしなみ」であれば相手に安心感を与え、好感を持たれます。患者さんの持つ精神的な不安を取り除くことが出来ます。身だしなみには、基本の5原則があります。要素ごとに、「どのようにすれば、よりよい第一印象を持たせることができるのか」を確認します。

職場の身だしなみ基本の5原則

 
  • ◆清潔感
    相手から見て、清潔感を感じるよう、心がけましょう。
  • ◆安全性
    患者さんや自分自身の安全確保できる服装にしましょう。
  • ◆機能性
    作業をするためには、働きやすい服、靴、髪型にしましょう。
  • ◆TPO
    時と場所にあわせ、仕事に適したトータルコーディネイトをしましょう。
  • ◆健康的
    健康的に見えることは、非常に重要なことです。健康的なヘアスタイルや化粧などにしましょう。 これらの要素は、全てをバランスよく取り入れることが重要です。

身だしなみを整えるとは、患者さんに対してプロの医療者としての心構えを可視化したものです。皆さんの職場で、身だしなみの必要性をまずは、理解してもらうことが必要です。 人は、なぜそれが必要なのかを理解しないと「行動」を変更することはできません。

基本の5原則を順守した具体的な事例について

例えばですが、以前は医療従事者の足元は、足が蒸れないように風通しの良いサンダルのような靴でした。しかし、現在は、足を覆うスニーカーのようなものが推奨されています。サンダルは、脱ぎやすく、汚れてもすぐに水洗いできるという機能性は、満たしています。

しかし、身だしなみの5原則からみるとサンダルを履いている職員が、もし、「薬品などが足に落ちてきた」「地震で院内にガラスなどが落ちているところをストレッチャーで患者さんの移動をしなければならない」としたら、職員自身の身の安全が守られていないサンダルでは、患者さんの安全を守ることはできません。

また、着用している白衣は、医師や看護師、専門職としてのプロの証です。ある医師から、「医師の白衣は、戦場に赴く鎧のようなものです。患者さんの命を守るために、最善を尽くす覚悟を表すものなので、清潔にするのは当たり前です。」と言った話を伺いました。

 医療技術や看護技術の本来のレベルを表すものではありませんが、その仕事に対する覚悟を表すものであると言うことは言えそうです。

次回は、具体的にどのような身だしなみが患者さんに好印象を与えるのか具体的に深堀してみたいと思います。

職場にふさわしい身だしなみ【後編】
島川 久美子

略歴
立教大学大学院卒業MBA取得。人材派遣会社立ち上げ、PC等教育フランチャイズ本部で人材育成に携わる。2002年4月株式会社ウィ・キャン(人材ビジネス・人材開発)、取締役に就任。1998年から、企業の立場で人材育成から病院での患者応対に関するコンサルティングを実施する。企業および医療機関における人材育成に関する企画・研修を実施。

著書
「医師・看護師が変える院内コミュニケーション」「毎日が輝くナースのマナー―決定版!患者接遇完璧マニュアル」できる看護主任・リーダーのコーチング術」共著(パル出版)他
「介護現場のクレーム対応の基本がわかる本 (New Health Care Management)」
「医療と企業経営 第6章」共著(学文社)
「ビジネスクリエーターと人材開発」共著(創成社)他