当サイトでは以前も「クレーム」に着目したコラムを掲載しています。
コラム 患者の不平、不満、クレームをツールとした病院革命をおこす
https://www.wcan.co.jp/column/
コラムでは患者満足度調査に着目していますが、
現場では患者満足度調査よりも「実際のクレーム」を重視する傾向があります。
そして「クレームがないから大丈夫」と考えている看護師長がいるのも事実です。
実はクレームがない職場というものは、さまざまな危険が潜んでいます。
今回はクレームのない職場の危険性をわかりやすく解説します。
クレームとはなにか?
厚生労働省は
「クレームは顧客からの商品・サービスや接客態度・システムに対して不平・不満を訴えるもの」
としています。
クレーム自体は問題ではなく、
業務改善や新たなサービス提供に繋がるため企業側にもメリットがあります。
表面化しないクレームは意外と多い
「ハインリッヒの法則」をご存知でしょうか。
1件の致命的な大失敗の裏には、29件のクレーム・苦情で表面化した失敗が存在する。
そしてその裏には、
当事者は「ヒヤッとした」けれどもクレームに至らず認識されていない失敗が300件存在するというものです。
ハインリッヒの法則は『氷山』に例えられます。
これは私たちが認識している氷山は全体のごく一部で、
その大半は水中にあり見えていないという事を意味しています。
氷山のイラストを見ると、目に見えないクレームの多さが改めて実感できるでしょう。
表面化していないクレームの多さについて論じた書籍を、もう1冊紹介します。
『サービス・マネジメント』では、
クレームの件数と実際に不満を抱えた顧客の割合を1:25と示しています。2)
たとえば25人の顧客がいたとします。
さまざまなトラブルや不満があっても、
サービス提供者に伝えるのはたった1人だけ。
たとえ満足していなかったとしても、24人は何も教えてくれません。
そのうち何人かは不満がつのり、顧客ではなくなります。
たった1人のクレームにだけ注視していると、
24人のクレームに気づかず取り返しのつかないことが起こる可能性があるのです。
看護師長は誰よりもクレームに敏感であれ
「うちの部署はクレームがない」と楽観視してはいけません。
表面化していないだけで、実際にはとても多くのクレームが潜んでいる可能性があるのです。
些細な患者の表情の変化や空気感に敏感になってください。
そして患者の想いをくみ取り、丁寧に対処するのです。そうすれば、
本当にクレームのない職場が実現する日も夢ではないかもしれません。
<参考資料>
1)濱川博招/著 島川久美子/著
挨拶のない職場は「離職率が高くなる⁉」 仕事がしやすくなる病院をつくるコミュニケーション術 ぱる出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4827208727
2)『サービス・マネジメント』カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ共著、ダイヤモンド社
https://x.gd/6DDSp