「あ、この人はよくわからずに仕事しているな」
「わかっていないから、こんなミスをするんだろうな」
新人と接していて、このように感じることはないでしょうか?
結果仕事が回らなかったり、インシデントやクレームが発生すると
「なんでわからないのに聞いてこないの?」
多くの看護師はイライラします。
さらに「○○さんは聞いてこないから仕事ができない」という新人評価に繋がることも……。
では、なぜ新人はわからないことが聞けないのでしょうか?
本記事では「わからないこと」が「わからない」新人にどのように対処していけばよいか解説します。
「指導者」と「新人」の思考の違い
まず指導者は新人と自分の思考が違うということを認識してください。
実は新人の多くが「何をすればいいのか、何が正解か、自分はどこまでできているか」さえもわかっていません。
でも指導者は違いますよね。
何をすべきか正解がわかっていますし、何を聞けば問題が解決するかもわかっています。
だからわからないことを聞けるのです。
新人との思考の違いを理解し、
少しでも指導者に近づけていくことが「わからない」を解決するために重要なのです。
新人は本当にわかっていないのか?
では、新人は本当に「何もわかっていない」のでしょうか?
決してそんなことはありません。
国家試験・就職試験に合格しているのですから最低限の知識は備わっています。
だだ、わからないことや未経験なことが多すぎて思考が混乱しているだけ。
何から聞けばいいのか解決の糸口が見つけられていないのです。
「わからないこと」が「わからない」新人の対策
新人に対して私たちは、なにができるのでしょう。
繰り返しになりますが新人との思考の違いを理解してください。
新人が聞いてくるタイミングが自分と違う、気になるポイントが違っても決して間違っているわけではありません。
新人が自分でわからないことを言語化できている点を認め、ポジティブフィードバックしましょう。
次にできることは「混乱した思考の整理」です。
「どこまでわかった?」
新人がどこまで理解できているのか、具体的に言語化させるようにしてみてください。
指導者が新人に伝えたことを、新人の言葉で改めて説明してもらうのも1つの方法です。
会話の中で、わかったこと・わからないことを少しずつ整理できるでしょう。
そして最後に思考の整理をサポートします。
「○○についてわかっていなかったんだね」
「○○は▲△と聞くとわからなかったことが解決できるよ」
このように思考の整理をすると次に同じ状況になったときに、
どのように質問すればいいのかがわかるのです。
その結果「わからないこと」が「わからない」新人から一歩脱却できるのです。
「わからないことはない?」
「わからなかったら聞いてね」
このような質問は、わからないことがわからない相手にはやめましょう。
私たちがもう少しだけ新人の頃の思考を思い出し、
歩み寄るだけでわからないことを聞いてこない新人が生まれるのを防げます。
今回は新人教育を一例にしましたが、
同じような状況におかれている部下も同様の対応が適しています。
また、看護師長のあなた自身が、新人のような状況に陥るかもしれません。
そのような場合は、
本記事を思い出して周囲の看護師長や看護部長などのサポートを受けながら、思考の整理ができるとよいですね。
<参考資料>
1)新人・後輩ナースを教える技術50 濱川博招/島川久美子著 ぱる出版
https://www.molcom.jp/products/detail/65024/